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設立趣意書

 我が国の水産業は、国民に必要な動物性たんばく質を供給し、国民生活上、重要な役割を果たしています。
 しかし、最近の水産業をとりまく情勢は、世界諸国の急激な漁業水域200カイリの設定による新海洋制度の実施に伴う遠洋漁業の縮小、再編成、沿岸域における大規模な開発による漁業環境の悪化等によって、漁業生産が停滞し、今後の水産施策の大きな転換を余儀なくされている現状にあります。
 特に、本県においては、高度経済成長政策による中部圏の中核をなす名古屋地区を中心として、衣浦、三河地区において大規模な臨海工業用地が造成され、広大な浅海干潟及び藻場のそう失、用地造成に伴う工業化、都市化による工場排水、生活排水の増大による水底質の汚濁の進行は赤潮の多発、広域化に象徴され、加えて伊勢、三河湾への大型船を中心とした船舶通行量の増加は狭水道域を始めとした好漁場における漁業操業制約、油濁事故の多発化を招いている等、漁場環境の悪化によって沿岸重要魚介類の生産が低迷する等沿岸を主体とした本県水産業は苦境に直面しています。
 このような情勢の中で、県民食料の安定的供給としての責務のほか、漁業生産の場である海の環境保全をより強力に推進するため、現行の水産施策の積極的な展開に加えて、愛知県、関係市町及び漁業団体の協力を得て財団法人愛知県水産業振興基金を設立し、水産資源の維持増大、漁業の操業安全、海難事故の救済、漁業被害の救済及び漁業経営の安定等の諸施策を推進して、水産業の発展とあわせ地域産業経済に寄与しようとするものであります。

昭和54年3月28日